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シンワ税理士法人のスタッフが
綴るブログ
日々の業務で起こる出来事や、
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“「ゴルフ会員権を売って損をしたときは~損益通算~」”

今日もS会計事務所では新入社員のT君が浮かない顔で何やら悩んでいる様子。それを見たベテランの先輩Mさんはいつもの調子で声をかけました。

M: 「T君、さっきからゴルフ会員権の相場表とにらめっこしてどうしたの?」
T: 「あ、先輩。実は担当先の社長からこの相場表渡されて、“私の持っているゴルフ会員権は買ったときの値段から1/10まで値下がりしている。売ろうと思うが税金面で何かメリットはないのか?”って聞かれたんです。」
M: 「ゴルフ会員権を売って出た損失は、株式と違って給与などのほかの所得との相殺ができるから、税金が安くなるよ。このように損と利益を相殺することを“損益通算”っていうんだ。」
T: 「本当ですか?じゃあ、社長はいつも所得が3000万円くらいあるから、この会員権を売ったら4500万円の損が出て、税金は0ってことになるわけですね?」
M: 「その通り。但し残りの1500万円の損失は白色申告の人は次の年まで持ち越すことができないから注意が必要だよ。それに、“損益通算”が出来る損失は限られていることも覚えておいた方がいいね。
ゴルフ会員権を処分する方法には売る以外にもゴルフ場に会員権を返却して預託金を返してもらう方法があるよ。預託金が相場よりも高ければ手取額が増えるからメリットは大きいかもしれないね。ただ預託金を返してもらって出た損失は“損益通算”ができないから、売る場合とどっちが得かシミュレーションをしてあげないといけないよ。」
T: 「なるほど。相場が下がっても損ばかりというわけではないんですね。」
M: 「そうだね。もう一つゴルフ会員権で注意が必要なのはゴルフ場がつぶれた場合だ。再生法などの適用が受けられればいいが、破産してしまうと会員権自体の価値がなくなってしまうから例え奇特な人がいて買ってくれたとしても、そこで生じた損失はやっぱり“損益通算”ができないんだ。」
T: 「じゃあ売るならなるべく早く手を売ったほうがよさそうですね。先輩どうもありがとうございます。助かりました!」
・・・後日
M: 「T君、この間のゴルフ会員権の話はどうだった?」
T: 「おかげ様で社長にとても喜んでもらえました。今度一緒にゴルフに行こうって誘っていただきましたよ。」
M: 「そりゃよかったね。・・・あ、所長。」
所長: 「T君今回の件はご苦労さんだったね。よく頑張ったからボーナスアップといきたいところだが、これまでの数々の失敗と“損益通算”して今回はプラスマイナス0かな。」
T: 「所長、そんな・・・」