ブログ

シンワ税理士法人のスタッフが
綴るブログ
日々の業務で起こる出来事や、
感じたことなどをお届けしています。

一億総活躍社会の実現

4月、多くの会社が、従業員給与の改定を行う事と思います。私が毎月給与計算を行っている会社でも給与改定がありました。ほとんどの人が昇給していましたが、パートで時給据え置きの人もいました。その人の時給は900円です。
現在の愛知県の最低賃金は898円です。安倍総理が推進する働き方改革でも、時給1,000円を超えることを目標としていますし、愛知県は前年より27円アップしていますので、2019年には、900円を超えるでしょう。
毎年10月に最低賃金の見直しが行われますので、この時給900円の人は、10月には昇給させる必要があります。
では、時給が上がってこの人は100%嬉しいのでしょうか。
この人はご結婚されており、ご主人の扶養の範囲内で働きたい、という方です。この場合、所得税計算上の控除対象配偶者か、という意味合いだけでなく、ご主人の会社から支給される家族手当規定の範囲内かどうか、ということも含まれます。
時給が上がり、同じ労働時間でより多くの給料がもらえても、ご主人の家族手当規定から外れ、その支給がなくなれば、家族全体の収入は減ってしまう可能性もあります。実際、その事実が後から発覚し、今までもらっていた家族手当を返還した、という話も聞いたことがあります。
それなら、もっとたくさん働けば、とも考えられますが、小さいお子さんがいらっしゃるなど、今まで以上に働くことはできない、というご家庭の事情があります。
昇給があったことで、その人がより短い時間しか働かなくなってしまったら、雇っている会社側も、その労働力を当てにすることが出来なくなってしまいます。
働いている従業員のことを考えて家族手当を支給しているはずなのに、それがネックで奥様が思うように働けなくなってしまっています。
一億総活躍社会の実現は、なかなか難しいですね。