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シンワ税理士法人のスタッフが
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「著しく不適当」著しいって、どれくらい?

 先日、上場企業H社の元社長の相続税申告にかかり、遺族が国税局の税務調査を受け、相続財産約90億円の申告漏れを指摘された、という新聞記事を読みました。
 
新聞記事等より内容引用
➀元社長(高齢者)は、所有するH社の株式(百数十億円)を、亡くなる前年に、資産管理
 会社S社へ現物出資し、S社の株式を取得。
➁S社は、別の資産管理会社T社(S社の子会社)へ、H社の株式を寄付。
➂相続が発生し、遺族は、S社の株価を、上場会社の株価を参考に計算する方法(類似業種
 比準方式)で評価し、20億円であると申告。
➃国税局は、S社の株価に、T社が保有する巨額のH社株式の価値が反映されていない
(T社の株価も、S社同様に類似業種比準方式で評価しているためと思われる)のは、
「著しく不適当」と判断し、再評価を行う。

おそらくですが、元社長の遺族は、顧問税理士へ相続税対策を相談し、その顧問税理士は、法令に従って、S社・T社を利用した対策を提案し、実行に至ったのだと思います。
 しかし、国税局は、➀~➂の期間が短期間であったこと等の理由から、S社株式の評価額は(H社株式の価値を加味すると)110億円相当であり、20億円という評価は著しく不適当である、と判断したとあります。

 確かに、今回のように90億円も財産を圧縮したとなると、著しい!と思ってしまいますが、これが9億円なら…、9千万円なら…、9百万円なら…。いずれにしても、過度な節税対策には、伝家の宝刀によるメスがはいるようです。
 相続税対策をするには、前もって、時間をかけて準備する必要があるのだなと、改めて思いました。